特に高齢の猫ちゃんに多い「慢性腎不全」とはいったいどんな事が原因で起きるのでしょうか? そしてどんな症状なのか、病気に罹ったらどうすればいいのか?など飼い主さんとって知りたい情報を出来る限りご紹介したいと思います。
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こんにちはnorikoです
「腎不全」って言葉は聞いた事がありますよね?
その中に、慢性腎不全と急性腎不全があります。
その違いは、数か月から数年かけて徐々に腎機能が悪化していき、その状態が慢性化している事を、「慢性腎不全」といいます。
一方、短期間で急激に腎臓の機能が悪くなる事が、「急性腎不全」といいます。
急性の場合は、何か腎臓に悪影響を及ぼす食品や薬などを口にした場合が多く、急激な症状(吐き気・元気がなくなる・食欲不振・下痢等)が起きるために、飼い主さんとしては発見しやすい場合が多いですね。
治療としては、点滴・人工透析で摂取してしまった食品や薬を排泄すれば、体調が戻る場合があります。
慢性の場合は、やはり回復は難しいのが現状です。
そして、ねこちゃんにはこの慢性腎不全が多いというのもまた現実なんですね。
目次
腎臓の働きとは
腎臓はお腹の上で背中側あたりに左右にひとつずつあって、大きい豆のような形状をしています。
役割は、体の中にある余分な水分を排泄したり、老廃物を体外に出して(尿となって出て行く)血液をキレイにすることです。
体の中の水分バランスを整える働きもあり、このバランスが悪くなると、尿の量が増えたり、尿が出にくくなったりすることで水を飲む量が増えたり、脱水症状が起きたりします。
また、赤血球を作ったり、血圧調整のホルモンを作ったりもしています。
赤血球の減少は貧血を引き起こす要因でもあり、腎臓病からの貧血はねこちゃんの寿命を短くしてしまう事に関連しています。
腎臓の仕組み
腎臓では尿を作るために重要な役割を担っている「ネフロン」という尿細管があります。
参考資料 wikipedia ネフロンより
このネフロンは左右合わせて、人間なら200万個・犬で80万個・猫では40万個あります。
正常に尿が排泄されるまでの過程
『心臓から送り出された血液 → 腎臓へ → ネフロンの働きで尿を生成。』
かなりざっくりとしていますが、このネフロンの働きの中にあるのが、「糸球体」と呼ばれるもので、ここで血液のろ過がされます。
その後、「尿細管」と呼ばれる部位で必要な塩分やたんぱくなどが再度吸収され・水分量も調節されます。
体内に再吸収されなかった残りが尿として排泄されます。
前述の補足の中で、ネフロンを構成している尿細管と腎小体と説明がありましたが、その腎小体の中に糸球体(毛細血管の塊)とボーマン嚢(ぼーまんのう)という尿細管の末端が膨大したものがあります。
この腎小体が尿を排泄するために必要なものと、そうでないものに分けるフィルターのような役割を持っています。
こうして無事尿が出来上がり体外へと排泄がされました。
慢性腎不全とは
尿を生成するための役割に、ネフロンが重要であるという事でしたね。
そのネフロンの働きがなんらかの原因で損なわれたり、減少すると、腎臓の機能が正常に働かなくなります。
100%あった腎臓の機能が50%以上失われてしまった状態のことを「腎不全」といいます。
このネフロンが大半機能しなくなると、体外に排泄されるはずの毒素が体の中に残ってしまいます。(通常はこの毒素は尿として排泄されます。)
残ってしまう毒素は血液中に留まり、下痢や嘔吐などを引き起こします。
こうして、一度腎機能が破壊されると、二度と戻らないのがこの病気の難しい面です。
また、ネフロンの半分の機能が働かなくても、症状が出にくいという事もこの病気を重くしてしまう要因でもありますね。
半分失っても、残りのネフロンがそれを補おうと働くために、ねこちゃんからの症状に気付きにくいのです。
ねこちゃんによっては、75%以上の機能を失って症状が出る、という場合もあるようで、気づいた時にはもう末期状態であるという事は少なくないようです。
慢性腎不全の原因は
この病気に罹るねこちゃんの多くは高齢猫であるということは言えますね。
慢性腎不全は数年かけて徐々に腎機能が低下していく病気なので、気づかないうちに、いつの間にか・・という場合が多いようです。
10歳以上の子になると、30%∼40% 以上でこの病気に罹っていると言われます。
また、他の疾患が引き金になっている場合も考えられます。
糖尿病や、慢性の腎炎、尿路結石などでも腎臓病が引き起こされる原因となる可能性はあります。
慢性腎不全の症状は
腎不全の症状
☑ 最近飲む水の量が増えた
☑ 尿の量が増えた
☑ トイレ(排尿)に行く回数が増えた
☑ 食欲不振だ
☑ 痩せてきた
☑ 尿の色が薄い気がする
☑ 尿のニオイが違ってきた
☑ 貧血が起きているようだ
慢性腎不全は症状が判る時には、かなり進行している場合が多いのですが、あきらめずに、もしかして・・と思ったら一度は病院で診てもらうことがいいと思います。
慢性腎不全の治療法は
腎機能は一度失うと回復することはありません。
この病気に罹ってしまった場合は、進行を少しでも遅らせる方法と、症状を少しでも軽くするための治療を取ることになります。
薬物による治療
血圧調整のホルモンが作られなくなるために、投薬によって血圧の安定を目的とします。
食餌療法
腎臓への負担を掛けないようにするための療法になります。
タンパク質やリン・ナトリウムを抑えたフードが必要ですね。
リンやナトリウムの電解質は腎臓機能が低下しているねこちゃんは、排泄機能が働かないため、高血圧や、多飲多尿という症状が出てきます。
低リン・低ナトリウムの食餌は、機能低下を少しでも抑えるために必要なものです。
タンパク質を抑える必要性は、腎臓病にとって血液の中で有害物質が発生するのは、過剰なタンパク質を分解する時です。
その為に食餌療法としては、このタンパク質を抑える事が大切になって来ます。
そして、消化吸収のいい食餌を心がけてあげましょうね。
慢性腎不全に対する予防は
ねこちゃんを腎不全にしないようにするには、日ごろからのフードの中身の検討が必要だと思いますね。
ミネラル・脂肪・タンパク質・カルシウム等、バランスが取れているフードを選んで、猫ちゃんがまだ若い時期にこのような食餌になれさせておくことが大切だと思います。
あとは、定期的な血液検査も受けた方がいいと思います。
特に7歳を過ぎると高齢猫になりますので、1年に1回位は検査を受けておくと安心だと思いますね。
血液検査
尿素窒素とクレアチニンという項目で腎臓の働きを見ます。
(尿素窒素)BUN
老廃物などで、腎臓の排泄機能が低下すると尿素窒素(BUN)が尿の中にうまく排泄されず、血液中の濃度が上がります。
(クレアチニン)CRE
Crは主に筋肉で作られるので、血清中のCr濃度(以下、血清Cr値)は筋肉のスクリーニング検査に用いられる。また、Crは腎臓から速やかに尿中に排出されるので、血清Cr値は腎臓のスクリーニング検査に用いられる。また、血清Cr値は尿中Cr濃度と併せて腎機能検査に用いられる。
wikipedia クレアチニンより引用
血液検査の結果で腎臓病が疑われた場合は、尿検査などが行われます。
事前に家で採尿したものを持ち込むか、あるいは、診察で獣医さんが採尿するかはかかりつけの病院での判断になりますね。
ここで!NEWSです!
実は、猫の腎不全改善に向けて、薬剤が出来るそうです。
臨床試験などを経て、2年後に商品化されそうだというニュースがあります。
そうなれば、ねこちゃんの寿命が倍近くまで伸びるのでは・・・と言われています。
概要としては、血液中にある「AIM」という、アミノ酸からなるタンパク質がありますが、ねこが持つこの「AIM」は活性化しないために、腎機能障害に陥りやすい。という事が解明されたそうです。
そこで、人為的に大量抽出した「AIM」をねこに投与すれば・・・という事で、このAIMタンパク質を薬剤にするために様々なハードルを越え、開発されているそうです。
それの実現が2年後にはと言われています。
(東京大学の研究チーム)
この薬が出来れば、腎不全で苦しむ猫ちゃんたちが減り、本当に30歳まで生きるようになるかも・・しれませんね。
なんといっても腎臓病での死亡率はとても高いですから、実用化されたら救われるねこちゃんたちが増えると思います。
私はとても期待しています!
まとめ
猫ちゃんの慢性腎不全についてご紹介しました。
知らず知らずに進行してしまい、そして命を奪ってしまう怖い病気です。
でも、一筋の光も見えてきているようなので、ぜひ期待したいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。